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設計事務所に建物を依頼する方法 #03|契約編:報酬は何に対して支払う?中身を見える化
Guide
【結論】
このガイドは、私たち(YUTAKA Architect & Associates)の進め方をもとに整理しています。
ただし、契約内容や費用の扱いは設計事務所ごとに異なるため、詳細は各事務所へご確認ください。
提案にご納得いただけたら、次は「設計監理契約」です。
ここで大切なのは、契約が「書類の手続き」ではなく、
これからの進め方を安心して共有するための「合意」だということ。
この段階で、次の輪郭を揃えます。
- これから何を、どんな順番で進めるのか
- 私たちの報酬は、何の業務に対して発生するのか
- いつ、どのタイミングでお支払いいただくのか
【設計監理契約で決まること】
設計監理契約書の原本をご確認いただいたうえで、正式にご契約となります。
業務の進め方、スケジュール、報酬体系などを丁寧にご説明いたします。
また、契約・着手のタイミングで「着手金(1回目のご請求)」が発生します(詳細は個別にご案内します)。
【報酬は「何に対して」支払うのか】
設計事務所の報酬は、図面の枚数に対してではなく、
設計と監理を通して、計画を成立させるための業務全体に対して発生します。
私たちの業務は、大きく分けると「設計」と「監理」。
合計で9項目の業務で構成されています。
▼ 設計料の対象となる業務(5項目)
- 条件整理
- 役所協議
- 基本設計
- 実施設計
- 確認申請業務
▼ 監理料の対象となる業務(4項目)
- 見積内容精査
- 施工会社さんの選定
- 工事監理
- 検査・引渡しの立会
※業務内容の詳細は、契約時に直接ご説明します。
※報酬は工事金額・建物用途に応じて変動します(料率等は個別にご案内します)。
【住宅メーカー・工務店・ゼネコンとの違い(報酬の“仕組み”)】
設計事務所の報酬は、基本的に「設計」と「監理」に対して発生します。
図面だけではなく、条件整理から申請、見積精査、工事監理、引渡しまで——
自らが建築士免許を掛けて描き上げた計画を、図面通りに成立させるための「責任」に対する対価です。
設計事務所は、設計者が契約主体として責任範囲を明確にし、
必要に応じて専門家とも連携しながら計画を成立させていきます。
その責任の持ち方は、組織の中で分業される体制とは、違いが出やすい部分です。
だからこそ私たちは、最初の契約の段階で、
「誰が」「どこまで」責任を持つのかを、言葉と書面で揃えることを大切にしています。
※よく「工事監理は現場監督さんの仕事じゃないの?」とご質問をいただきます。
私たちが行うのは、図面通りに建物が施工されているかを確認する「工事監理」。
現場監督さんが行うのは、現場を円滑に安全に進めるための「工事管理」です。
一方で、住宅メーカー・工務店・ゼネコンは、同じ「建築」でも利益の出し方が異なります。
多くの場合、設計単体ではなく、施工や事業全体の中で費用が組まれるため、
「設計費」が単体で低く見える表現になることが多いです。
どれが正しい、ではなく「どの仕組みが自分に合うか」。
ここを整理すると、報酬の見え方も、判断の基準もぶれにくくなります。
私自身、社会人のスタートは住宅メーカーの営業職でした。
その経験があるからこそ、設計事務所の報酬が「何に対する対価なのか」を、仕組みとして整理してお伝えできます。
※このあたりの「日本の建設業界の構造」については、別のガイド/コラムで改めて整理してみようと思います。
【お支払いのタイミング】
お支払いは、設計と監理の進捗に合わせて、複数回に分けてお願いしています。
(回数・割合・金額の詳細は個別にご案内します)
- 1回目:契約・着手時
- 2回目:基本設計完了時
- 3回目:実施設計完了時
- 4回目:竣工時
【融資をご利用の場合】
金融機関から融資を受けられる場合、設計監理料も融資に組み込みたいとお考えの方が多いです。
その際は、金融機関の融資実行のタイミングに合わせて、請求の時期や分割方法を調整します(状況により個別対応)。
【報酬に含まれない費用】
設計監理料とは別に、プロジェクトの性質上、「外部に支払う費用」や「実費」が発生するものがあります。
代表的には次の通りです。
- 構造設計料/設備設計料/省エネ適合性判定に関わる設計料
(外部専門家への委託費。内容は外注先見積によります) - 確認申請の申請手数料
(申請業務そのものは設計料に含まれますが、審査機関へ支払う手数料は別途です) - 各種調査・取得資料にかかる実費
(登記簿・敷地・法令等) - 広島県外からのご依頼に伴う交通費
(オンライン打ち合わせにも対応可能です)
【次の一歩(#04予告)】
設計監理契約を結んだら、次は「基本設計」です。
次回 #04では、基本設計で何を決め、どこまで共有し、どのタイミングで概算を整えていくのかを整理します。
