私たちが大切にしていること Pholosophy
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たった一つの椅子に
座るという意味について
私たちは、営業や施工、積算や土地の仕入れなどを行わない、設計に特化した存在です。
だからこそ、お施主さまはもちろん、関係各社さんとの信頼関係をとても大切にしています。
これは、私たちのためではなく、お施主さまのためにです。
見積と選定の「いま」
私たちが創る空間は、ハウスメーカーのような社内規定に縛られたものではなく、まっさらな白紙に絵を描くような行為です。
よく言えば「自由度に際限がない」とも言えますが、同時に、真の意味で類似する建物が世の中に存在しません。ゆえに見積も毎回ゼロからのスタートです。
昨今は物価動向などもあり、複数社に見積を依頼して比較検討する進め方が一般的になってきました。
これは、賢く建てるための合理的な方法であり、多くのお施主さまにとって安心感のあるプロセスです。
一方で、施工業者さんの視点に立つと…
しかし、施工業者さんの立場からこの流れを見てみると、どうでしょうか。
見積は高度な検討と相応の時間を要する仕事です。
結果として受注に至るのは一社だけ——それでも多くの施工業者さんが、お施主さまの大切な一度の選択に寄り添いたい。という思いで丁寧に向き合ってくださっています。
少なくとも、私がお付き合いさせていただいている方々においては、そうです。
「そういう仕事なんだから仕方がない」?
そう言われてしまえば、それまでかもしれません。
でも、施工業者さんには、何十人もの職人さんや下請け業者さんが関わっており、
その人たちにも親がいて、家族がいて、日々の暮らしがあります。
お施主さまの住まいづくりは、そうした多くの人たちの生活の上に成り立っています。
建築家として、私にご依頼くださるお施主さまには、そのことをきちんとお伝えしたいと考えています。
見積をどう取るか、共に考える
目的と状況に合わせて、最適な進め方を一緒に選びます。
- 複数社に依頼するメリット:比較検討ができ、納得感・安心感を得やすい。
- 最初から一社に絞るメリット:段取りが整えやすく、工期の見通しが立てやすい。金額調整や工程調整にも前向きに取り組んでもらいやすい。
どちらの方法を選ばれても、私たちは中立かつ公正に対応いたします。
お施主さまに不利益が生じないよう、金額だけでなく数量も含め、見積書の内容を丁寧に精査しておりますので、どうぞご安心ください。
さいごに——「椅子」の意味
建築は、一人でできる仕事ではありません。
お施主さまに選ばれた私たちと関係各社は、お預かりした“たった一つの椅子”に、誠実に座り続ける責任があります。
そしてお施主さまにもまた、ご自身と、共に住まわれるご家族のために、
私たちに誠実に向き合っていただきたいと願っています。その相互のまなざしこそが、良い家づくりを支える土台だと信じています。
思いが環(めぐ)り、心が還る場所へ。